アートの新名所" 江之浦測候所"

小田原に写真家の杉本博司さんによって手がけられた、美術館的な場所が新たにできたということで、

今回の東京滞在中に必ず行こうと思いつつ、結局コペンハーゲンに戻る前日に辿り着けました。

この日はあいにくの曇りでしたが、見学している間雨は降らずに持ちこたえてくれました。

 

 

東京から車を走らせること2時間、本当は1時間半もかからないはずだったのですが、

久しぶりの運転で、高速道路の乗り降りで手こずってしまい予定より40分遅れて到着。

 

 

江之浦測候所では、近代以前の人口密度を体験してもらうため、

1人の専有面積が230坪になるよう入場人数を制限をしているため、完全予約制です。

土日は割と先まで埋まってしまうことがあるので早めの計画が良さそうです。

 

予定より遅れて到着してしまいましたが、まだ1時間は見学させていただけるということで快く受け入れて頂けました。

 

確かに人が少ない。自分のペースで鑑賞でき、自然とゆっくり向き合えます。

 

杉本博司さんは、20代前半からNYをベースに活躍する写真家でもあり、
古美術コレクターや建築家としてなど幅広い分野に置いて活躍されています。

江之浦測候所は、自分の最後の課題とし、 ” 5000年後かいつか滅びた後の美しさを想定して”  ”遺跡を作りたい”

という想いを込めて、構想から竣工まで20年以上の歳月をかけてつくられたそうです。

人間の最初の意識、“自分のいる場所を確認するために、太陽の運行の規則性を認識する”

という行為を、もう一度再現し体感するための場所ということで、江之浦測候所と名付けられたそうです。

江之浦測候所は、相模湾を見渡す元みかん畑だった1万1500坪の広大な敷地に、

ギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門、待合棟などから構成され、

杉本さんが長年に渡り収集してきた、古墳時代から近世の考古遺物等が随所に配置されており、

また建築様式や工法は各時代の特徴を取り入れて再現されているため、まるで元からそこにあったような自然な存在感。

 

 

こちらの明月門は、近い歴史で、根津美術館正門として使用され、

遡れば鎌倉にある明月院の正門として室町時代に建てられたものだそうです。

 

 

 

夏至光遥拝100メートルギャラリー

 

 

夏至の朝、海から昇る太陽光はこの空間を数分間に渡って駆け抜けるように設計されているそうです。

 

反対側から見ると、

 

 

踏石として使われてる石等も近隣の根府川石丁場から採取されたそうです。

 

 

全体を見てて思ったのは石の存在感。

石がテーマと言っても過言ではないくらい、石がベースに成り立っている。

実際にこの土地は数メートルの地下が強固な岩盤で、この周辺は古くから石の名産地としても知られているようで、

ここに配置されている石達は近隣で発掘された石から、過去に日本各地で発掘された歴史のある石達だそうです。

まるでそれぞれの石が生きているかのような、もしくはここでは生きているものとして扱われているような。

 

 

以前友人が “生まれ変わったら砂利になりたい”って言ってたのを思い出しました。

砂利はちょっと嫌だけど、愛される石ならいいかも、、って、ここにきて思いました。(笑

 

 

冬至光遥拝隧道。

 

 

冬至の朝、相模湾から昇る陽光がこちらの隧道を貫くそうです。

ぜひその時間に合わせて見てみたいです。

 

 

隧道の中程にある井戸は中世のものだそうです。

 

 

 

 

 

 

 

光学硝子と木で造られた舞台は、能舞台の寸法を元に設計されており、

今後はここで実際に能等の公演も行うそうです。

 

人によってつくられた場所なのに、自然の摂理にしたがって作られたことで、まるで自然がそれをつくったようにも感じとれる。

そういえば人間も自然の産物だった、と思い返させるような、原点がここに。

 

 

敷地内にはまだ増設中のエリアや、建設中のものもあるようで、今後もどのように発展していくか楽しみです。

 

良質な芸術に触れた後はその余韻に浸るため、ちゃんとした食事をしたいもの。

根府川にある金目鯛しゃぶしゃぶの老舗、一吉丸へ。

海の側に、もともとの古民家をそのままお店として利用されてます。

老夫婦で営まれているため一度に3組ほどのお客さんだけ受け入れているようです。

 

 

 

 

 

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